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 私たちはiPhone8のワイヤレス充電器を縦置きして充電できる専用台を開発しました。
 その流れを簡単にご紹介します。



構想 - Plan -

3D概要

 『ニーズ指向』(needs oriented)の開発です。

 iPhoneのワイヤレス充電器は卓上置型。iPhoneを寝かせて置く必要があり『場所を取る』『着信通知が見えづらい』『バイブでズレてしまう』などの課題がありました。

 構想としては
1.縦置に対応
2.ワイヤレス充電対応
3.本体のカバーはシェル型と手帳型の私たちの周りにあるので対応

 ラフに案を想像し、3Dデザインに入りました。

This development is Needs-oriented.




設計 - Design -

 採寸をしながら設計します。
 まずblenderを起動させ、寸法単位をミリメートルに合わせます。キーボードの N を押して寸法入力できる状態にし、最初から画面中央に置かれている立方体の寸法をX=90mm、Y=45mm、Z=2mmとして土台としました。

充電器台座

 充電器が円形のため、固定方法を試行錯誤しましたが3Dプリンタの精度に賭けて半円形の台座をつくり、特に固定具などは使わない事にしました。

 立方体(Cube)をX=90mm、Y=120mm、Z=11mmで作りました。
 ワイヤレス充電器が嵌る部分は、充電器外径と同じ円柱(Cylinder)を作成して先ほどの立方体に深さ9mmで、つまりZ軸位置で立方体を2mm残すような位置に置いて[ブーリアン]⇒[差分]でくり抜きました。

 充電器台座は半円程度で固定できそうでしたので、半分は切り落としました。新しく120mm角くらいの立方体を作成し、その立方体の一面が台座となる立方体の円の中心に来るように移動させて[ブーリアン]⇒[差分]で切り取りました。
 面の抜け落ちを防止するために台座の立方体を[編集モード]にして面全選択状態ですべての面を外向きに、その状態で全面を目視確認しました。今回は面の抜けは無かったですが、ときどきあります。

 充電器台座をデザイン後、右図では青色部分を傾けました。直角だとiPhoneが倒れるため、少し傾けています。


iPhone台座

 次にiPhoneの台座を作ります。本体+ケースの厚みで9mm程度なので台座(腕)の奥行きは10mm、手前の壁の厚み2mmは別に加算します。角度は充電器台座と同じく傾けました。

 この設計の最大の肝はiPhone台座の位置決めでした。
 予備実験で許容範囲が狭いことが既知であったため、iPhone本体が充電器の中心に来るように調整しました。
 設計画面上では少し高いかなと思うくらいの位置が、結果としては丁度よかったです。

 iPhoneが落ちないように支える前壁を付けます。高さも意味があり、10mmに収まらない厚さのカバーを付けたiPhoneを置いた時でも充電されるように調整しています。
 前壁の位置は角の仕上がりがキレイになるように下部先端をマイクロメートル単位で調整しました。仕上げ作業の手間経験にもつながあります。


支柱

 図を見て頂くとわかりますがiPhone台座の下には太い支柱が4本あります。
 これが必要かどうかというと、必要だと思います。
 3Dプリンタの造形が下から1層ずつ描いていく都合上、iPhone台座のように腕が出ているような部分は支える何かが必要になります。
 プラモデルのように切り落とす細い支柱を立てる方法もありますが、仕上げの手間が発生するので、今回は『見せる支柱』という事にしてデザインしました。




スライス - Slice Draw -

3D概要 blenderのエクスポート機能でstlファイルを出力します。
 それをFlashPrintというFlashForgeのサイトからダウンロードできるソフトを使ってスライスしました。スライスソフトについてはこちらをご覧ください。

 操作は簡単です。
 画面の[ロード]から先ほどのstlファイルを選択、左右どちらのヘッドを使うか選択したら[スライス]をクリック。温度設定など細かな指示が出せますのでヘッド温度はフィラメントに合った温度にしましょう。

 スライスを実行すると拡張子『.x3g』ファイルが出力されます。
 このファイルをSDカードに移し3Dプリンタへの入力に使います。




3D造形 - 3D Molding -

3D概要  3Dプリンタ(Creator Pro)を起動し[Print from SD]を選択して先ほどのx3gファイルを選択、実行しました。

 下から1層ずつ、今回は高さ5cm規模に対して0.5mm程度ずつ層を描いていくため数時間かかります。

 今回の素材はPLAを使いましたがABSの場合は造形台を100℃程に温めて造形するため電力消費も多くなり、設定を誤れば造形物が溶けてしまうトラブルも想定されます。




調整・仕上げ - Adjustment & Finish -

3D概要  造形物を調整して仕上げます。

 調整不要の仕上がりになることもありますが、形状によっては調整が必要になります。

 右図の作品は転倒してしまうリスクがあるので、土台面積を広げるために羽根を付けました。不要なので除去します。




完成 - Complete -

3D概要 目的通り使えれば完成です。

 まずワイヤレス充電器を取り付けました。しっくり、ぴったりと付きました。USB電源を接続してスタンバイOKです。

 続いてiPhone8を置いてみます。手帳型とシェル型の2種類で試験。
 いずれもしっかりと置くことができます。シェル型はiPhone台座にしっかりとはまりますが、手帳型は前壁に載るような状態でした。
 充電はいずれの方法でも実施されたので、立てかけるようにして置き、充電をするという目標は達成しました。

 LINEやメールなどの着信通知ですが、シェル型は見れます。手帳型はカバーが邪魔するのでそもそも見れませんでした。





姉妹品 - Suite -

3D概要 ワイヤレス充電器が下記2機種あったので、2種類制作しました。
Type-A:W-QA01
Type-B:W-QA02

 ここまでご紹介したのはType-B(右図の左手)で径が大きかったですが、Type-Aは直径54mmでコンパクトなため、台もコンパクトでした。

 製法はほぼ一緒です。採寸し、充電が適正に行われるポイントを把握して台座位置を調整し造形しました。
 スマホはいずれもiPhone8を使いました。

 大きな特徴の違いとしてはiPhone台座が浮いていないことです。土台(base)に直置きするとちょうど中心に充電器が当たるよう充電器台座を調整しました。

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失敗作 - Failure -

 開発の裏にはいくつかの失敗がありました。

 左側の図は充電器台座の深さを間違えたためiPhoneとの距離が遠く充電できませんでした。

 中央と右側の図はiPhoneを土台置きにしたため充電器の中心に合わず、失敗。これを経てiPhone台座は腕を出すような形に変更されました。


第二の人生

 失敗作ではありますが、使い道を見つけてゴミ箱からは脱出。
 LINEなどのビデオ通話で長時間の会議をすることがあるので、スマホを固定する台としてワイヤレス充電非対応スマホで活用しています。
 残念ながら筆者はiPhone8ではなくZenFone3なので、USBワイヤード給電です。

 下図のとおり背中の部分に半円状の無駄なスペースはありますが、スマホを支えるという仕事はできています。


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5-10-13, Noma, Itami, Hyogo
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